休職するとキャリアは終わるのか。私の場合は、休む前に思い描いていたキャリアとは、別の形になりました。何が変わって、何が変わらなかったのかを書きます。
私は駅員から車掌、運転士と進み、本社で仕事をしていたときに半年休職しました。復職して元の企画の部署に戻り、その約半年後、自分の希望で駅員に移りました。今はフル復職しています。ここまでの道のりは駅員→車掌→運転士→本社。鉄道会社のキャリアは一本道じゃなかったに書きました。
この記事で制度の話はしません。会社によって違うからです。書けるのは、私ひとりのその後だけです。
結論。終わったのはキャリアではなく、「上に行く」という物差しだった
休職しても、私のキャリアは終わりませんでした。終わったのは「上に行くことがキャリアだ」という、休む前の物差しのほうです。
休む前の私は、キャリアと言われたら出世を思い浮かべていました。その物差しで測れば、休職はたしかに終わりに見えます。実際、私も終わったと思いました。ただ、物差しのほうが入れ替わったので、終わりにはなりませんでした。
この記事で書くのは3つです。
- 休む前の私が「出世は終わった」と思った日
- 復職したとき、実際に起きたこと
- 物差しが入れ替わったのは、休んでいる最中だったこと。そして今、どう考えているか
今、キャリアが終わったと感じていませんか。そう感じるのは自然だと思います。私もそうでした。キャリアが終わったかどうかの答えは、今日出さなくて大丈夫です。
休む前の私にとって、キャリアは「出世」だった
「あ、自分の出世は終わった」
そう思ったのは、休職が決まった日です。初めて病院に行って、先生から診断書をもらったときでした。やはり休職すると出世できなくなるのではないか。そう思いました。
以前、「休職したい」が言い出せない。私が上司に最初に言えたのは「仕事の相談」でしたに、休む前の不安を書きました。「それまで仕事中心で生きてきました。積み上げてきたものがなくなるんじゃないか。それがとても不安でした」。今回の記事は、あの不安の続きです。
では、なぜ出世したかったのか。家族を養っていくためです。お金がないと家族が養えない。それが一番にありました。お金をもらうためには出世が一番早い方法だと、自分で思っていたんです。お金を稼ぐイコール出世。この考えが、とても固くありました。
どれくらい固かったか。休職前の私は、どんな飲み会も最後まで参加していました。全部に参加していれば良く思われるだろう、と思ったからです。
戻って変わっていたのは、仕事ではなく私の感覚だった
戻ったのは、休む前と同じ企画の部署でした。仕事内容を今振り返ると、特に変わったことはなかったんじゃないかなと思っています。
戸惑ったのは、人との距離のほうでした。仕事の分担について、どう話していいか分かりませんでした。職場の同僚が仕事をしている中で、私がどう入っていいのか。入らないほうがいいのか。どれだけ頼りにされるのか。自分では結局、そこが最後まで分かりませんでした。
復職後がしんどいのは当たり前。「また沈まない」ために私が決めたルールには、職場の人は戻ってきた私を「もう大丈夫な人」として扱ってくれた、と書きました。それとは別に、私の側には「休職した人」として見られている実感がありました。
休職したのは事実として変わらない。ならば、ありのまま受け入れよう。当時の私は、そう思いました。ただ、今になって考えると、見られているという実感は、自分の感覚に近いと思います。結局、自分で自分を責めていたんだな、と思っています。人は想像以上に、他の人に対しては無関心だなと思っています。だから今は大きく考えず、自分は自分で考えていこうと思っています。
戻ったら「休職した人」として見られる、と思っていませんか。私も戻ってから、そう感じました。今の段階で、周りからどう見られるかまで答えを出さなくていいと思います。
物差しが入れ替わったのは、休んでいる最中だった
私のキャリアの物差しが入れ替わったのは、復職してからではなく、休んでいる間でした。
きっかけはお金です。休んだことで給料が振り込まれなくなり、「どうしよう」となりました。そこからお金の勉強を始めたんです。それが、休職中に買ってよかったもの・やってよかったこと5つ。半年休んだ私が正直に書くに書いたFPの勉強だったと思います。
休んでいる間に健康保険から出る傷病手当金など、お金をもらえました。もらえたことによって、出世しなくても自分の生活ができる、というのが実感できたんです。それで、体調が一番大事、仕事は二の次だということが、改めて理解できました。
企画から駅員に移ったのは、そのあとです。ただ、物差しが変わったから移った、というわけではありません。自分の価値観ややりたいことを考えたときに、浮かんできたのが駅員でした。経緯そのものは「また折れるかも」を抱えたまま 駅員に戻った私の復職のリアルに書きました。
もちろん、古い物差しも残っていました。正直、出世コースから外れるということは思いました。ただし、周りから「もったいない」と言われたわけではありません。
同時に、こうも思いました。自分が無理をして体調を崩してまで出世しても意味がない。なので、自分は自分でやっていき、出世は今はいいかな、と。
さきほどの復職の記事には「現場へ移るのは、後退ではありませんでした」と書きました。あれも本当です。私の中には、この2つが同時にありました。現場に行くのは後退ではない。出世コースから外れるとは思ったけれど、それは自分で勝手に考えていること。生活ができていればそれでいいので、自分ができることを精一杯にして、あとは会社が判断する。投げやりかもしれませんが、今はそういう考え方です。
駅員に移ることを妻に話したときの反応も書いておきます。特に反応はありませんでした。また泊まり勤務になる、ということだけは心配していました。
あなたの中の「もったいない」は、誰の物差しでしょうか。すぐに分からなくて大丈夫です。
出世と評価を、今はこう考えている
今のところ、出世したいという気持ちはありません。企画の仕事には、今は多分、戻らないと思っています。ただし、会社が戻ってほしいということであれば、戻るかなと思います。自分のキャリアは自分でやりたいと思うけれど、最後は会社が決めるものだからです。だからこそ、自分がどうしたいかだと思っています。
代わりに出てきたのが「違う仕事をいろいろやってみたい」でした。この2つは、私の中では別物です。
- 私の中の出世したい=とにかく上を目指して、上に好かれているような仕事の仕方
- いろいろやってみたい=自分がどうしたいかをまず主眼に置いて、そのあと会社の方針と自分のやりたいことを合わせて進めていく
「いろいろ」は鉄道の仕事の中の話です。出世することだけが全てではないし、鉄道にはいろいろな仕事があります。駅、乗務員、車両、それこそ企画の仕事。そのいろいろな経験をする中で、自分の価値観を上げていきたいと思っています。現場と本社でどう違ったかは鉄道会社の本社と現場、どっちがしんどい?両方経験した私の答えに書きました。
評価との付き合い方は、さきほどの復職後のルールの記事に書いたことと変わっていません。課題の分離なのかな、と今も思っています。
休職したら、出世をあきらめなければいけない、と思っていませんか。私の場合は、あきらめたというより、順番が入れ替わりました。体調が一番、仕事は二の次。順番が入れ替わるかどうかは、人それぞれだと思います。出世したい気持ちが残っていても、おかしくありません。
休職は「終わり」ではなく、私にとっては迂回運転だった
休んだ半年を、私自身は必要だった時間と感じています。
鉄道でたとえます。迂回運転です。いつもの線路が使えないとき、列車は別のルートを通ることができます。迂回しても、結局最後は目的地に行けます。私の半年は、そういう時間でした。私の目的地は、出世ではなく、お金に左右されずに自分のやりたいことをやること。そう思えるのは、お金の勉強をして、自分の価値観と向き合ってきたからだと思います。
休んだことによって、大切なものの順番が変わりました。今までは会社が全てでした。今は会社だけでなく、家族や自分の時間など、本当に大切なものを自分の中で精査しながら進めていけると思います。
変わったことを書きます。まず、家でメールを見る数が、圧倒的に減りました。休む前は、家では常にメールを見ていないと落ち着きませんでした。休みの日も、子どもと過ごす時間も、常に仕事のことがありました。今はそうではありません。休みの日や子どもと過ごす時間は、その時間を大切にする。仕事は仕事の日に考えればいい。そう思えるようになりました。
もう一つは飲み会です。今は行きたければ行くし、行きたくなければ行きません。二次会は断るようにしています。
キャリアという言葉を、今の私の言葉で言い換えるとこうなります。自分の可能性を広げること。自分のことを冷静に見つめること。今はそう思っています。上に行くことではなくなりました。
「この先どうなるのか」が不安な、休職中のあなたへ
休職中の自分に、キャリアのことで一言だけ言えるとしたら、これです。
焦らなくてもいい。
休職中だった自分に、こう伝えます。自分で今までの生活を見直して、どういうふうにしたら生活がこれからできていけるか。それを考えられる、いい機会にしてほしい。
もう一つ、当時の自分に言うなら。絶対に焦ってはいけない。焦ってもいい結果は生まれない。これは今もそう思っています。ただ、いま焦ってしまっている人を責める言葉ではありません。あのときの私に向けた言葉です。
ここまで書いてきたのは、私ひとりのその後です。私が受け取れたものが、そのまま誰にでも当てはまるとは限りません。周りの人がどう受け止めるかも、私には分かりません。だから「休職してもキャリアに不利はない」とは書けません。私の場合はこうだった、というところまでです。
今日、キャリアのことで自分を責めない日にできますか。できなくても大丈夫です。
今日やってほしいこと
最後に、一つだけ。
自分の価値観を、ノートに書き出す。
私がやったのも、これです。休職中、体調が落ち着いてきてから、ノートに書き出しては、カウンセリングの先生に話す。それを繰り返していました。復職した今も、価値観とは向き合っています。1行でも構いませんし、今日でなくても構いません。何を書けばいいか迷ったら、大切なものの順番でいいと思います。私の場合は「体調が一番、仕事は二の次」でした。
話せそうな人がいれば、書いたものを話してみてください。できたら、カウンセリングの先生のように聞くのが仕事の人がいいと思います。私の場合は、人に相談することで、自分では考えていなかった思いが呼び起こされました。ただ、相談できる人がいなくても構いません。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。止まって見える今の時間も、あとから振り返ると、迂回していただけかもしれません。
出発進行!
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この記事は個人の体験です。回復のしかたや必要な手続きには個人差があります。心や体の不調が続く場合は、我慢せず身近な人や専門家に相談してください。休職・復職の判断は主治医・産業医などの専門家に、記事に出てくる制度の扱いは加入している健康保険や勤務先にご確認ください。

