傷病手当金の申請の流れ。休職した私がつまずいた3つのポイント

休職と復職

結論から書きます。傷病手当金(しょうびょうてあてきん)の申請でやることは、3つだけです。

  1. 申請書を手に入れる
  2. 自分の欄を書いて、お医者さんに書いてもらう
  3. 会社に出す

役所に行く必要はありません。窓口に並ぶこともありません。

正直に言うと、書類そのものは難しくなかったです。見本があったので、見本を見ながらそのまま書けました。

私がつまずいたのは、書類の中身ではありませんでした。段取りと、待ち時間と、「自分で申請していいのかな」という迷いです。

この記事では、数年前に半年休職した私が、実際にどう申請したかを書きます。何を、どの順番でやるのか。どこで詰まるのか。読み終えたときに「思ったより簡単そうだ」と思ってもらえたら十分です。

なお、いくらもらえるのか、手元にいくら残ったのかは第2話に正直に書きました。金額が気になる方はこちらからどうぞ。

休職したらお金はどうなる?傷病手当金でいくら入ったかを正直に書く

申請書は、自分でダウンロードできる

まず、申請書の手に入れ方です。

私は自分でダウンロードしました。加入している健康保険組合のホームページに申請書のページがあって、そこから印刷しただけです。誰かに取り寄せてもらう必要はありませんでした。

会社員が入っている健康保険は、大きく2つに分かれます。

  • 協会けんぽ … 協会けんぽのサイトから
  • 健康保険組合(会社や業界ごとにある組合)… その組合のサイトから

自分がどちらか分からない人は、マイナポータルの「健康保険証」の資格情報か、お手元の資格確認書を見てください。保険者(発行元)の名前が書いてあります。分からなければ、会社の担当部署に聞くのがいちばん早いです。

見本も、たいてい同じページに載っています。私はこれに助かりました。「どう書けばいいんだろう」と手が止まったとき、見本のとおりに書けばよかったからです。

申請書は、書く人が3人に分かれている

ここが、この手続きのいちばん大事なところです。

傷病手当金の申請書は、書く人が3人に分かれています。

  • 本人が書くページ … 名前、振込先の口座、休んだ期間など
  • 会社が書くページ … 休んでいたこと、給料が出ていないことの証明
  • お医者さんが書くページ … 働ける状態ではない、という証明

様式は加入先によって違います。協会けんぽの申請書は4ページ構成。健康保険組合はそれぞれ独自の様式で、私のところは2枚でした。枚数は違っても、「3人で書く」という仕組みは同じです。

長い距離を走る列車は、途中の駅で運転士が交代します。前の運転士が引き継ぎを終えて、次の運転士が席に座って、はじめて列車は動き出す。ひとりでも来なければ、列車はその場で止まったままです。

申請書も、これと同じでした。3人ぶんが埋まって、やっと前に進みます。

つまり、自分のページを完璧に書いても、まだ半分も進んでいません。

なお、書き上がった申請書の出し先は、勤務先の担当部署を経由する形が多いと思います(私もそうでした)。直接、協会けんぽや健康保険組合に郵送する場合もあるので、流れは勤務先に確認してください。

私がつまずいた3つのポイント

1. お医者さんのページは、自分から紙を渡さないと始まらない

これが最初の関門です。待っていても、誰も書いてくれません。

私は診察の途中で、その紙を先生に渡しました。「はいはい書きますね」という感じで、その場で書いてくれました。頼みにくさは、まったくなかったです。

身構えていたぶん、拍子抜けしました。お医者さんにとっては見慣れた紙なんだと思います。

費用もかかりました。私の場合は3,000円ほどだったと記憶しています。ただし、ここは病院によって違います。金額も、その場で書いてもらえるか後日になるかも、病院ごとに変わります。

だから、次の診察で一言聞いておくと安心です。「傷病手当金の書類、お願いできますか」。それだけで大丈夫です。

2. 申請は1回で終わらない。だいたい月に1回、くり返す

私はここを分かっていませんでした。

申請書は、1回出したら終わりではありません。休みが続くあいだ、だいたい1か月ごとに出し続けます。お医者さんに書いてもらうのも、そのたびに必要です。

出し忘れると、その分の振り込みが単純に後ろへずれます。

そこで私は、スマホでアラームを2本かけました。

  • 毎月1日 … 今月ぶんの申請書を用意する
  • その月の最初の診療日 … 病院に紙を持っていく

そのまま、やることリストとして使っていました。休んでいると、日付の感覚がぼやけます。今日が何日かも分からなくなる日があります。だから頭で覚えようとせず、鳴らして思い出す形にしました。

これは今でも、いい判断だったと思っています。準備そのものは1分で終わります。

3. 出してから振り込まれるまで、私は1か月半待った

いちばん想定外だったのが、これでした。

申請書を出してから実際にお金が振り込まれるまで、私の場合は約1か月半かかりました。その間は、まったくの無収入です。

公式に「何日で振り込む」と決まっているわけではありません。私の経験ですし、健康保険や時期によって前後します。ただ「出したらすぐ入る」ものではない、とだけは先に知っておいてください。

待っているあいだ、頭にあったのはお金のことでした。自分の貯金でやっていけるのか。家族を養えるのか。心が弱っているときに、この計算をくり返すのはしんどかったです。

だから、休みに入る前後の生活費は、先に手元に用意しておいてください。最初のひと月ぶんは入らない前提で組んでおくと、心がずいぶん楽になります。

我が家がその期間をどう乗り切ったかは、第2話に書きました。お金の不安が強い人は、そちらもあわせて読んでみてください。

休職したらお金はどうなる?傷病手当金でいくら入ったかを正直に書く

知っておきたい2つの数字 ― 待期3日と、時効2年

制度の話を、あと2つだけ。どちらも知らないと損をします。

ひとつめ。最初の3日間は「待期(たいき)」といって、手当金の対象になりません。

連続して3日休むことが条件です。この3日には、土日祝も有給休暇も入れられます。ただし有給を使った日は給料が出るので、その日ぶんの手当金は出ません。手当金が出るのは4日目からです。

ふたつめ。申請には期限があります。

働けなかった日ごとに、その翌日から2年です。「落ち着いてからまとめて出そう」が危ない、ということですね。とはいえ毎月出していれば、期限切れにはまずなりません。

申請は、待っていても始まらない。でも、ひとりで抱えなくていい

ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。

書類を書くこと自体は、しんどくありませんでした。見本があったので、見ながら書けたからです。

しんどかったのは、出すことでした。正確に言えば、「自分で申請していいのかな」と迷っていた時間です。

私はどこかで、会社がやってくれるものだと思っていました。休職に入れば、あとは担当の部署が手続きを進めてくれるんじゃないか。そう思って、待っていたんです。

でも、違いました。結局、自分でやるしかなかった。この部分が大変でした。

傷病手当金は、申請しなければ1円も入りません。誰かが気を利かせて始めてくれるものではないんです。

動き出しの一言は、これでいい

では、何から動けばいいのか。私の答えはこれです。

上司に、こう言ってください。

「傷病手当金というものがあるそうなので、申請してみたいんですが」

これだけで十分です。制度を全部理解している必要はありません。名前を出して、申請したいと伝える。そこから会社の担当部署につながります。

上司に言い出すこと自体がしんどい人は、こちらもどうぞ。私が最初の一言をどう切り出したかを書いています。

「休職したい」が言い出せない。私が上司に最初に言えたのは「仕事の相談」でした

このとき、私が痛感したことがあります。

制度は、知らない限り何も動かないということです。知らなければ、使えるお金があることにすら気づけません。誰も教えに来てはくれません。

知識は武器にも防御にもなる。あのとき、心からそう思いました。だから勉強しておかないといけないんだと。

それでもしんどい時期は、人に頼っていい

とはいえ、休み始めのころは、その一言すら重い日があります。

私も最初は、自分で担当部署に出しにいけませんでした。だから上司に掛け合って、申請書を代わりに出してもらったんです。

それで、何も問題は起きませんでした。手当金はちゃんと振り込まれました。

そのあと通勤訓練(一般にリハビリ出勤と呼ばれるもの)が始まり、会社に行けるようになってからは、自分で担当部署に出しにいくようになりました。段階的に、自分の手へ戻していった形です。

リハビリ出勤って何をするの?カフェで1時間座ることから始めた私の復職訓練

動き出すのは自分です。でも、運ぶのは人に頼んでいい。上司でも、人事や総務の担当者でもいいです。担当者はこの手続きに慣れています。聞かれて迷惑がる人はいません。

全部ひとりでやり切ることに、意味はないです。

まとめと、今日やってほしいこと

要点を並べます。

  • 申請書は健康保険(協会けんぽか健保組合)のサイトから自分でダウンロードできる。見本も同じページにある
  • 申請書は本人・会社・医師の3人ぶんが揃って、はじめて進む(様式・枚数は加入先で違う)
  • お医者さんのページは自分から頼む。費用や日数は病院によって違う
  • 申請は毎月くり返す。アラームを2本かけておけば忘れない
  • 出してから振り込まれるまで、私は1か月半かかった。生活費は先に用意しておく
  • 申請は待っていても始まらない。上司への「申請してみたいんですが」の一言から動く
  • 出すのがしんどい時期は、上司や担当者に代わりに出してもらってもいい

そのうえで、今日やってほしいことをひとつだけ。

次の診察のときに「傷病手当金の書類をお願いします」と言ってください。

この一言が言えれば、手続きは動き出します。まだ休むかどうか決まっていない人は、言う言葉を決めておくだけで十分です。私のときは、診察で先生に紙を渡すだけで終わりました。

手続きが分からないことを理由に、休むのをためらわないでください。制度は、あなたが安心して休むために用意されています。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。今夜の不安が、ひとつぶんでも軽くなっていますように。

出発進行!


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この記事は私自身の経験をもとに書いています。判断は必ず主治医・産業医の指示に従ってください。回復には個人差があります。

制度の内容は変わることがあります。最新の情報は協会けんぽ・健康保険組合・勤務先にご確認ください。

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