駅員の言い方がきついのはなぜ?内側の理由と、我慢しなくていい話

鉄道員になる

駅員の言い方がきつく聞こえるとき、内側には事情がいくつかあります。先に言っておくと、事情があることと、あなたが嫌な気持ちを我慢することは、別の話です。

私は駅員から車掌、運転士と進みました。本社勤務を経て、今は自分の希望で駅に戻っています。改札の内側で、私自身の言い方がきつくなる日があります。その話も書きます。

この記事で分かることは3つです。

  • きつく聞こえる言い方の、内側の理由
  • 中の人でも「今のはまずい」と思う日があること
  • モヤッとしたときの選択肢

駅員の対応で嫌な気持ちになって、検索してここに来たのかもしれません。そのモヤモヤ、誰にも言えずに持っていませんか。ここで降ろしていってください。

会社や駅によって事情は違います。ここに書くのは、私ひとりの体感です。

先に言います。あなたの感じ方は間違っていない

きつい、と感じたなら、きつかったのだと思います。

言った側に「そんなつもりはない」と言われても、受け取った感覚は消えません。感じ方は、言った側が決めるものではないからです。

この記事は、駅員を守る記事ではありません。お客様に「あなたが悪い」と言う記事でもありません。内側で何が起きているかを書いて、そのうえで「それでも嫌だった」が残っていい、と言う記事です。

改札の内側から見ても、きつく聞こえる言い方はあります。私自身にも、あります。

改札の内側で起きていること。きつく聞こえる5つの理由

理由は5つです。場面はよくある形にまとめて書きます。実際のやり取りは書きません。

1. 安全の言葉は、短く言い切るしか間に合わない

ホームの端に近づいている人がいる。発車間際の列車に駆け込もうとしている人がいる。こういう場面で、とっさに出るのは「下がってください」です。

丁寧な言葉では間に合いません。1分1秒でも早く下がってもらいたい。命に関わるので、言葉は削られて、芯だけが残ります。

警笛は、挨拶の音ではありません。警告の音です。きつい音なのは、届かないと意味がないからです。ホームで駅員が出す短い言葉も、警笛と同じ側の音だと思っています。

2. 決まりがあること自体が、外からは見えない

きっぷの払い戻しには、決まりがあります。私の会社では、改札を通って中に入るだけでも入場券が必要です。「電車に乗らなければ無料」と思っている方には、私も何度も案内しました。

知らないのは、当たり前だと思います。そんな決まりがあると思っていないだけです。ただ、決まりの中で動いてもらう必要がある仕事なので、私も、決まりを曲げて案内することはできません。

本当は、理由を説明したい。でも、理由を説明しても、納得してもらえないことがあります。その場では、事実より先に気持ちが動いている。そう感じる場面です。

きっぷの決まりは、現役駅員が教える「おトクな切符」活用術!移動費を浮かせて旅を贅沢にする全知識でお客様の側からも書いています。

3. ホームでは、声を張らないと届かないことがある

ホームでは、声を張らないと届かない場所があります。だから、いつもより声を張ることがあります。届く声は、普段の会話と同じ音にはなりません。

改札では、そんなに張りません。だから改札できつく聞こえたなら、声の大きさではなく、理由はほかにあります。決まりの話か、このあとに書く2つだと思います。

4. 間違った案内ができないから、断定調になる

きっぷや経路の案内が断定調になるのは、間違った案内ができないからです。「たぶん行けます」とは言えません。

丁寧に言い直す前に、まず正しいことを言い切る。冷たく聞こえることがあるとしたら、この言い切りだと思います。

5. 余裕をなくしている日が、正直、ある

安全でも決まりでもなく、ただ余裕がない日があります。私にもあります。

これは事情であって、免罪符ではありません。

あのときの駅員はどれだったんだろう、と思い当たるものがありましたか。分からなくても大丈夫です。外からは見分けがつきません。

それでも「今のはまずい」と思うとき

自分の言い方がきつくなっていた、とあとから思う日があります。一度きりではなく、今でもあります。

朝の通勤ラッシュや、旅行で時間がないお客様の対応です。まくし立てるように言われたり、「早くやって」と言われたりすると、自分のペースが乱れます。窓口でも、改札でも、ホームでも同じです。

私は自分のペースで話したい。それが崩れると、余裕がなくなる。頭の中にあるのは「とにかく話さなきゃ」です。目の前の人に腹を立てているのではありません。次のお客様が待っている、という感覚です。

そうなると、お客様の意見を聞かずに、私の意見をどんどん言ってしまう。

気づくのは、語尾です。いつも言わないような語尾が、少しきつくなる。それで「今のはまずい、気まずい」と考えてしまいます。

お客様がどう反応していたか、イメージはあまりありません。気づいているのは、たぶん自分だけです。

そのあとは、深呼吸して切り替えます。自分のペースを守って、一つ一つやっていこうと思っています。

私には、こういう日があります。だとしても、あなたがその言葉を引き受ける理由はないです。

モヤッとしたとき、選択肢は2つある

選択肢を2つだけ置きます。どちらでもいいです。

1つ目。その場で聞き返していい。

私は歓迎します。迷惑だとは思いません。聞き返さない限り、お互いの認識が合わないからです。うまく言葉にならなくても、感じたことをそのまま伝えてもらって大丈夫です。私はそれが答えやすいです。

2つ目。流していい。

これも立派な選択肢です。聞き返す気力がなかった日は、流して帰っていい。どこかに伝えなきゃ、と思わなくていいです。

言い返せなかった自分を責めていませんか。その場で言えないのが普通です。

最後に、内側からの景色を1つ。小さい子が笑顔で手を振ってくれると、一瞬で空気が変わる気がします。こちらも笑顔になって、自分の気持ちも晴れやかになる。

余裕をなくすと、私はただの人間になる

私は数年前、心の不調で半年休みました。休んだのは本社で働いていたころで、駅の接客がきつかったからではありません。

半年休んだときの話は仕事で心が折れた。鉄道員の私が半年の休職を決めるまでにあります。今すぐ読まなくていいです。

休んで、復職して、駅に戻って、接客が変わったかというと、特に変わっていない気がします。変わったのは、頭の中の分け方です。

休職前は、全て自分の責任だと思っていました。今は「これはこれ、それはそれ」です。私の場合は、こう分けています。自分の感情はコントロールできる。でも、事実や相手の感情まではコントロールできない。そう分けて、自分でできることをやっていこうと思っています。

接客で言えば、あまり考えなくなった気がします。考えるのは、お客様が何を求めているか、そこだけです。ただ、自分をすり減らしてまで合わせることは、しないようにしています。

余裕がなくなると、私はただの人間になります。今もです。

改札の内側のきつさ全体は、駅員の仕事はきつい?現役が「きつさの正体」と乗り越え方を正直に書くに書きました。

事情を知ることと、我慢することは別

きつく聞こえる言い方には、安全と、外からは見えない決まりや案内のために削られた言葉があります。ただし、全部がそうではありません。余裕のない日の言葉も、混ざっています。

事情を知ることと、嫌な気持ちを我慢することは、別でいい。事情を知ったからといって、あのときの嫌な気持ちをなかったことにしなくていいです。

今日やってほしいことを、1つだけ。

あのときの言い方を、今、一度だけ仕分けしてみてください。安全の言葉か、決まりや案内の言葉か、余裕のない言葉か。どれか分からなければ、余裕のない言葉に入れておいてください。それで成功です。余裕のない言葉は、駅員の側の宿題です。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。あなたのモヤモヤは、ここに置いていってください。

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この記事は個人の体験です。心や体の不調が続く場合は、我慢せず身近な人や専門家に相談してください。

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