診察室で私がしたのは、思っていることをそのまま吐き出すことだけでした。
うまく話せたかどうかは、いまでも覚えていません。順番も整っていなかったと思います。それでも診察は成立して、その日のうちに診断書が出ました。
先に書いておきます。私は、朝に体が動かなくなるまで病院に行きませんでした。だからこれは、早く行った人の話ではありません。行くのが遅すぎた人間の話です。 あなたは、私より早く行っていいんです。
この記事に書くのは4つです。
- どうやって病院を決めて、予約したか
- 当日の流れと、かかった時間とお金
- 診察室で何を話したか。うまく話せなくてもどうなったか
- 帰り道、気持ちがどう変わったか
私が行ったのはメンタルクリニックです。心療内科と精神科は、もともと主に診る範囲が違います。「メンタルクリニック」は、そうした心の診療をする医院の呼び方のひとつで、両方を掲げているところも多いです。どこに行けばいいか分からなければ、病院のサイトや電話で診療内容を確認できます。流れも費用も病院によって違います。ここに書くのは、私ひとりが経験した1日です。
会社にどう切り出すかについては、「休職したい」が言い出せない。私が上司に最初に言えたのは「仕事の相談」でしたに書きました。この記事は、その病院版だと思ってください。
いちばん大変だったのは、病院にたどり着くまででした
私が病院に行ったのは、体がまともに動かなくなってからです。
朝、目が覚めたら足に力が入りませんでした。その日のことは第1話に書いています。
怖さは、ありました。ただ、それ以上に頭を占めていたことがあります。まず病院までたどり着けるか。いちばんの関心は、そこでした。
その日は少し雨模様で、傘を持って出ました。雨が降っている間は雨具に、やんでいる間は杖代わりに。歩くときも、階段を上るときも、傘に体をあずけました。いつも以上に、ゆっくりとしか歩けませんでした。
いつもなら何ということもない距離に、普段の倍以上かかりました。いま思えば、それぐらい弱っていたのだと思います。
ここまで読んで、「自分はまだそこまでじゃない」と思った人もいると思います。それでいいんです。そして、そこまで行く前に読んでいる時点で、あなたは私より早いところにいます。
病院の予約ページを開いたまま、閉じたことはありませんか。閉じても大丈夫です。開いた時点で、半分は進んでいます。
踏切の非常ボタンは、ためらわず押すのが原則です
踏切には、非常ボタンがついています。押すと、列車に異常を知らせる停止信号が出る仕組みです。
押すのをためらう人は多いと思います。大ごとになるんじゃないか、勘違いだったらどうしよう、と。
でも鉄道では、踏切の中に人や車が残っているなど、危ないと思ったら、ためらわずに押してもらうのが原則です。押すべきか迷うような場面でも、です。列車は、すぐには止まれないからです。
病院も同じだと思っています。この病気かな、不安だな。そう思ったときは、行ったほうがいいです。行って「大したことなかった」なら、それがいちばんいい結果です。
病院は、その日の空きから決めました
病院選びに時間はかけていません。
自分で調べて、その日に空きがあるところを探しました。予約はネットです。そして、その日のうちに診てもらえました。
口コミを読み比べたり、評判のいい先生を探したりはしていません。そもそも、自分のことを病気だと思っていなかったんです。だから、病院を調べ比べるという発想がありませんでした。
結果として、それでよかったと思っています。私に必要だったのは「いちばんいい病院」ではなく、「今日診てくれる病院」でした。
ただ、その日のうちに診てもらえたのは、私の場合です。初診は予約が取りにくいところもあります。1軒目で埋まっていても、それはあなたのせいではありません。
初診当日の流れ。受付から会計まで2時間でした
当日の流れは、こうです。
- 受付をして、問診票を書く
- 院内のカウンセラーの方と、10分ほど簡単なカウンセリング
- 待ち時間はおよそ30分
- 診察は15分ほど
- 診察のあと、もう一度カウンセラーの方とお話
- 会計と次回の予約(薬は会計のあと、薬局で受け取りました)
- 受付から会計まで、全部で2時間ぐらい
私の場合は、いきなり医師と向き合うのではありませんでした。先生に会う前にカウンセラーの方と話し、診察が終わったあとにも、もう一度カウンセラーの方とお話ししました。
待合室で自分だけ場違いな気がするんじゃないか。そう心配していませんか。私が見たかぎり、待合室の雰囲気は普通の病院と変わりませんでした。特別な場所ではありません。順番を待つ人が座っている、それだけの部屋です。
2時間と聞くと長く感じるかもしれません。ただ、自分が何かを話したり書いたりする時間は、そのうちの一部です。
診察室で、私は思いをそのまま吐き出しました
私は、話を組み立てて行きませんでした。組み立てられる状態ではなかった、と言うほうが近いです。診察室に入って、ありのまま、自分の思いを、感情をそのまま吐き出しました。
うまく説明できたとは思いません。いま思い返しても、何をどう話したかは覚えていないんです。
先生は、私の言葉にいちいち反応しませんでした。ただ、「うんうん」と聞いてくれました。
話すことを、頭の中で何度も組み立てていませんか。組み立てなくて大丈夫です。私はできませんでした。それでも診察は進みました。
15分ほど話したあと、先生に言われました。
「これは病気なので休んでください」
その言葉を聞いたとき、本当にほっとしました。
休んでいい、と言ってもらえた。それだけで、体から力が抜けました。
説明は、うまくなくていいんです。
初診の費用。私の場合は診断書と薬を含めて1万円ほどでした
お金の話をします。数字は私の記憶をたどったものなので、目安として読んでください。
その日の出費は、合わせて1万円ぐらいでした。内訳はこうです。
- 診察代:3,000円ほど
- 診断書などの文書代:5,000円ほど
- 薬代(薬局で別に):2,000円ほど
つまり、診察そのものの代金だけではありません。休職に使う書類を書いてもらう費用が、別にかかります。ここは知らないと驚くところなので、先に書いておきます。
金額は病院によって違います。費用が心配なら、予約のときに診察料や診断書の料金を確認しておくと安心です。
持ち帰ったのは、診断書と薬と次回の予約
その日、病院から持ち帰ったものは3つです。
- 診断書(その日のうちに書いてもらえました)
- 薬
- 次回の予約
診断書がその日に出たのは、私にとって大きなことでした。
ここで正直に書きます。病院に行ったら、そのあとに会社への連絡が待っています。ここはしんどいところです。
ただ、私の場合、診断書を出したあとに、自分の言葉で細かく説明する場面はありませんでした。「これは病気なので休んでください」と言われた事実を、その紙が代わりに伝えてくれた。私はそう感じています。
会社に切り出す最初の一言については、こちらの記事に書きました。
帰り道に思ったのは、「これは病気なんだ」でした
病院を出た瞬間に浮かんだのは、この一言です。
「あ、これは病気なんだ。休むことが必要なんだな」
私は、自分が悪いわけではなかったんだと受け止めました。いろいろなことが重なって起きた病気であって、私の性格が弱いから起きたことではない。自分の中では、これは脳の病気なんだと理解しました。
念のために書いておくと、これは診断名ではありません。私が自分をそう受け止めた、というだけの話です。
いま、できない自分を責めていませんか。その判定は、自分でしなくていいんです。私も、先生の一言でやっと「自分が悪いわけではない」と思えました。
そこから気持ちが切り替わりました。だからこの病気に、しっかり向き合おうと決めました。
病院を出たあと、私はまっすぐ家に帰りました。まず家に帰ることを、いちばん大事にしました。
連絡をしたのは、家に着いてからです。まず妻に、病院で言われたことを説明しました。そのあと、会社の上司に連絡しました。休むことが決まったからです。
帰り道からは、YouTubeで情報を集めはじめました。よく見ていたのは、精神科医の樺沢紫苑さんの動画です。「病気になったらどうするか」を話しているものを、たくさん見ました。
動画の内容を全部そのまま受け取ったわけではないですが、「これから自分はどう過ごしたらいいのか」を知るうえで、すごく参考になりました。この方のYouTubeに、私はとても救われました。
そこから、自分にできることを一つずつやっていきました。
そうして私は、やっと休むことができました。
まとめ:今日やってほしいこと
振り返ります。
- まとまらないまま話しても、私の診察は進んだ
- 病院は、その日に診てもらえることを優先した
- 行って何もなければ、それでいい
もう一度だけ書きます。私は動けなくなるまで行きませんでした。傘を杖代わりにして、やっとたどり着きました。あなたは、私より早く行っていいんです。
今日やってほしいことは、1つだけです。
いま困っていることを、スマホのメモに1行だけ書いてください。
「朝、起きられない」でかまいません。診察室で話しにくければ、そのメモを見せたり、読み上げたりする方法もあります。
書いたメモを使わなくても大丈夫です。書けたなら、それで十分です。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。行く日は、今日じゃなくてもいいです。ただ、行っていい場所だとだけ覚えておいてください。
出発進行!
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休職から復職までの地図。いまのあなたが読む1本が見つかります
ここに書いたのは筆者ひとりの体験です。症状の出かた、受診の流れ、費用には個人差があり、病院によっても違います。受診するかどうか、いつ行くかの判断は、ご自身の状態に合わせて決めてください。診断・治療については、必ず医師など専門家にご相談ください。

